2017年10月17日火曜日

極限脱出パロディ小説 第二話

極限脱出パロディ小説 第一話

どうやらあの問題をまともに解いたのは俺だけのようだ。
大して難しい問題ではなかったんだけどな。
俺はどうやってあの問題を解いたのか振り返ってみる。

「扉を開くのは魔界の人」ということは、「魔界の人」が暗証番号を表していると考えた。
しかし、他の文章と「魔界の人」に関連性が全く見いだせない。
文章の意味を考えても無駄だろう。
「魔」も「界」も一度しか出てこないので漢字を使うとも思えない。
文章をひらがなにしてみよう。

まわるのはめ
かわるのはひ
といかけるのはひる
とびらをひらくのはまかいのひと

「ま」「か」「い」「の」「ひ」「と」はすべて他の文章に含まれていることが分かる。

「ま」わる「の」は「め」
「か」わる「の」は「ひ」
「と」「い」「か」ける「の」は「ひ」る

こうして見ると一つ目と二つ目の文章は数式として読むことができそうだ。

ま÷の=め
か÷の=ひ

三つ目の文章も数式として読むことができる。

とい×の=ひる

これは覆面算だな。
それぞれの文字に0~9の数字をあてはめて数式が成立するようにすればいいのだろう。
同じ文字には同じ数字、異なる文字には異なる数字を入れるのが覆面算のルールだ。

ま÷の=め、か÷の=ひ
において、「の」が0でないのは明らか。
「の」が1だったら「ま」と「め」が等しくなってしまうので、「の」は1ではない。
同様に「め」も「ひ」も2以上なので、どちらかは3以上。
「の」が4以上だと「の」と「め」「ひ」どちらかの積が10を超えるので「の」は3以下。
「の」が3だと、○÷の=△となるのは6÷3=2のときだけなので3ではない。
よって「の」は2と確定する。
二つの割り算は、8÷2=4、6÷2=3、またはその逆である。

掛け算は
とい×2=ひる
である。
「る」は偶数であり、2,4,6,8は他の文字で使われるので0だと分かる。
すると「い」は0か5なので、5と確定。
よって「ひ」は奇数であり、3と確定。
「い」は1と分かり、すべて確定する。
ま=8、の=2、め=4、か=6、ひ=3、と=1、い=5、る=0
まかいのひと=865231
となる。





俺たちは次の部屋へ移動することにした。


全員が薄暗い部屋に入ると、上から巨大なスクリーンが降りてきた。

ゼロが映し出される。
「では、ゲームの説明をしよう。
まず、すべてのゲームには安全にクリアする方法があることは保証する。
各プレイヤーにはキーナンバーという一桁の数字が与えられている。
キーナンバーは1,2,3,・・・と連続する番号が振られており、
同じキーナンバーを持つプレイヤーはいない。
手首のバングルには各プレイヤーのキーナンバーが表示されている。

この部屋にはアルファベットが書かれた扉が8個ある。
どの扉も同じ部屋に通じている。
プレイヤー全員がどれかの扉を通ってその部屋へと移動できればゲームクリアだ。
但し、扉はロックされている。
ロックを解除するには扉の番号と同じキーナンバーが必要だ。
扉についているスキャン装置にバングルを押し当てて認識させればいい。
番号が一致すればロックは解除される。
一致しなかった場合はプレイヤー全員のバングルが爆発する。
その威力は人間一人を跡形もなく吹き飛ばすほどだ。
また、ロックを解除するときだけではなく、扉を通るときにもキーナンバーはチェックされ、
一致しない場合には爆発するようになっている。

扉の番号は各扉の裏側に書かれている。
扉の番号は1から8の数字で、同じ番号の扉はない。
プレイヤー全員が正しい扉を通って隣の部屋に移動できればゲームクリアだ。
それでは、ゲームを楽しんでくれたまえ」

映像は消え、スクリーンは戻って行った。

「・・・嘘でしょ」
「ふざけんなよ!」

理不尽なゲーム内容に泣いたり怒ったりする者もいたが、
なんとか落ち着かせてゲームに取り組むことにした。


まずはキーナンバーの確認だ。
俺のバングルには「5」と表示されている。
俺のキーナンバーは5だ。
全員のバングルを見て、一宮=1、ニルス=2、サンタ=3、四葉=4、茜=6、セブン=7、八代=8と確認できた。

ゼロの言っていたとおり、部屋の奥の壁にはアルファベットの書かれたドアが8個あった。
ドアに書かれていたのは、「F」「I」「N」「D」「Y」「O」「U」「R」の8種類のアルファベット。

「この8個のアルファベットが1から8の数字に対応してると思うんだけど・・・」
「これだけじゃ特定できないよな」
「FIND YOURって意味がありそうだけど、文章としてはおかしいよね」
「YOURは所有格だから後ろに何かくるはずだな」
何か壁に書いてあるのかと目を凝らしてみたが何も見えない。
俺たちは手がかりを探すため部屋の中を調べてみることにした。

メモを読んだり仕掛けを動かしたりして鍵を手に入れた。
その鍵でロッカーを開けると、その中に懐中電灯らしきものを発見。
つけてみたが大して明るくならない。
「それってブラックライトじゃない?」
「ブラックライト?」
「ブラックライトは紫外線を放射して蛍光体を発光させることができるんだよ。
きっと蛍光塗料で文章が書かれているんじゃないかな」

ドア群の右の壁にライトを当ててみると、「=DOOR」という文字が光って見えた。
「なるほど。FIND YOUR DOOR。自分のドアを見つけろってことだな」
「この=はなんだろうね」
さらに詳しく調べていくと、扉と扉の間に「*」と書かれていたり、
扉群の左側にも文字が書かれているのを発見した。
「どうやら数式になっているみたいだな」
扉の周りに書かれていた文字と扉のアルファベットを合わせると、

2500<FIN*D,YO*UR=DOOR

と読めた。
8個のアルファベットに1から8の数字をあてはめて、2つの式が成立するようにすればいいのだろう。
ちょっと変わった覆面算だな。
俺はしばらく考えて答えにたどりついた。

続く。

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