極限脱出パロディ小説 第一話
極限脱出パロディ小説 第二話
極限脱出パロディ小説 第三話
極限脱出パロディ小説 第四話
極限脱出パロディ小説 第五話
極限脱出パロディ小説 第六話
俺は考えに考えた。
もしかするとゼロは俺たちの中に潜んでいるのではないだろうか。
ゼロの映像は録画であり、自動再生される仕組みだったから、
俺たちと一緒に行動をしていても問題はない。
奴はプレイヤーが8人だとは一度も言わなかった。
プレイヤーでない者が紛れ込んでいるとしたら、プレイヤーの数は8人ではない可能性がある。
プレイヤー全員が部屋に入ったらビデオが再生されると言っていたから、
プレイヤーが8人以下であることは間違いない。
ゼロかこの中にいるとしたら、プレイヤーの数は7人。
実際にはもっと少ないかもしれない。
先ほどの推論を振り返ってみると、
キーナンバーが8個なので扉7は偽になるというところが間違っていたわけだ。
扉7が偽だとするとキーナンバーの数に関わりなく矛盾が生じてしまう。
だから扉7は真だ!
他には扉1が偽、扉2は真で(2,4,5)、扉3は偽と分かっている。
キーナンバーがn個のとき、2個のキーナンバーの組み合わせはn(n-1)/2個。
開く扉は真の扉であり、鍵番号を3つもつ。
一つの真の扉の鍵番号から得られる2個のキーナンバーの組み合わせは3個なので、
真の扉の個数をmとすると3m=n(n-1)/2とならなくてはいけない。
よって、6m=n(n-1)であり、n(n-1)は6の倍数。
また、2個のキーナンバーの組み合わせの中で、あるキーナンバーを含むものはn-1個。
そのような組み合わせは扉一つにつき0個または2個なので、n-1は偶数でなくてはいけない。
この条件を満たすのは8以下の自然数の中では1,3,7のみ。
扉2よりキーナンバー5が存在することは明らかなのでn=7となる。
やはりプレイヤーは7人であり、一人がゼロなのだろう。
プレイヤーには1から順に連続するキーナンバーが振られているのだから、
キーナンバーは1から7。キーナンバー8はない。
ということは、八代がゼロということになるわけだ。
ちょっと信じ難いが。
これで矛盾が起きないかどうか確認してみよう。
真の扉の個数は7×(7-1)/6=7個。
鍵番号2を含む鍵番号2個の組み合わせの個数は6個であり、
2を含む真の扉にはそのうち2個が含まれるので、そのような扉は3個。
同様に6を含む真の扉も3個。
よって2または6を含む真の扉は高々6個。
真の扉は7個なので、2も6も含まない真の扉が存在し、扉19は偽と分かる。
扉19が偽なので扉5は偽。
扉4が偽だと扉3,扉4,扉5がすべて偽となり矛盾するので扉4は真。
扉4が真なので扉14,扉18は真。
キーナンバー8が存在しないので扉10は偽。
扉10が偽なので扉6は偽。
扉18が真なので3の倍数の扉は3をもつ。
扉14が真なので扉11と扉16の鍵番号の積は24。
扉11,扉14は(4,6)(2,3,4)(1,4,6)のどれか。
(2,3,4)は扉2と矛盾するので(4,6)まはた(1,4,6)。
つまり、扉11,扉16は一方が偽の扉(4,6)で他方が真の扉(1,4,6)。
扉11,扉16は4,6を共通にもつので扉9は偽。
扉11,扉16のどちらかが真なので扉20は(5,6)か(4,5)であり偽。
扉20が偽なので5の倍数の扉は5をもつ。
扉8が真だとすると扉8=(1,4,6)となり矛盾するので扉8は偽。
扉12が真だと仮定してみよう。
扉2,扉4,扉7,扉14,扉12,扉18の6個は真の扉であり、
扉11,扉16のどちらかは真の扉と分かった。
真の扉は7個なので他の扉はすべて偽の扉ということになる。
扉13が偽なので扉15は6をもつ。
すると扉15=(3,5,6)となり真となるので矛盾してしまう。
よって扉12は偽だ。
扉12が偽なので扉4は4をもつ。
(2,4,5)(1,4,6)が存在するので扉4=(3,4,7)と決まる。
扉2=(2,4,5)、扉11または扉16が(1,4,6)なので、これで全員移動できそうだ。
扉11,扉16のどちらが(1,4,6)であっても、
すべての条件を満たすような組み合わせを考えることができる。
だから扉11,扉16のどちらが真の扉なのかを確定させることはできない。
しかし安全に確認する方法はある。
4番6番で扉に近づいて開いた方が真の扉だ。
1番4番6番は扉11,扉16のどちらか開いた方を通ればいい。
2番5番は扉2を通り、3番7番は扉4を通ればよい。
8番はプレイヤーではないので関係ない。
これでプレイヤー全員が安全に扉を通ることができる。
どうやらこれが確実な手順のようだ。
俺は八代を問い詰めることにした。
「お前がゼロなんだな!」
「えっ?なんのことかしら?」
「しらばっくれるんじゃねえ!」
俺が八代につかみかかると、八代のバングルからピッと音がした。
「うぐっ」
八代が崩れ落ちた。
・・・
「どうやら毒死のようだね」
「自殺?」
「多分違う。バングルから毒を注入されたんじゃないかな」
「そういえば音が鳴っていたな。誰かが信号を送ったんだろう」
「誰かって?」
「ゼロじゃないか?」
「八代がプレイヤーでなかったのは間違いない。恐らくゼロの協力者だったのだろう」
「でもこのゲームをクリアしようとしたら、それに気づくようになっていたんだよね?
おかしくない?」
「八代にはそのことは知らされていなかったんだろう。
八代がプレイヤーでないことに気付かれたら口を封じる計画だったと思われる」
「ひどい奴だね」
「まったくだ」
「ゼロはこの7人の中にいるってことだよね」
「その可能性は高いな」
「八代を殺すために信号を送ったんだよね。リモコンか何か持ってるんじゃないかな」
「なるほど」
男女別に身体検査をしてみたが、あやしい物を持っている者はいなかった。
バングルにはたくさんボタンがついているので、それを操作したのかもしれない。
結局何も分からないまま次の部屋に移動した。
続く。
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