2017年8月6日日曜日

論理パズル 天国への道 基本編

次の問題は非常に有名なものですので、ご存知の方も多いでしょう。

あなたは死にました。
天国目指して道を歩いていくと、2つに道が分かれているところにたどりつきました。
一方は天国に通じていて、もう一方は地獄に通じています。
どちらが天国への道なのかは分かりません。
そこには一人の人物?が立っています。
彼は悪魔か天使です。どちらなのかは見た目では分かりません。
あなたは彼に1回だけ質問をすることができます。
天使は質問には正しく答えますが、悪魔は間違った答えを言います。
質問には「はい」または「いいえ」でしか答えません。
もちろん彼はどちらが天国への道なのか知っています。
どちらが天国への道なのかを確実につきとめるためにはどのような質問をすればいいでしょうか。

まず、このルールをどうやって知ったのかということが気になるかもしれません。
事前に説明を受けていたとか、神の声が聞こえたとか、立札に書いてあったとか、
とにかく、ルールはきちんと把握しているものとします。
分かれ道に立っている人物といちいち書くのも面倒なので今後は彼のことを案内人と書くことにします。
案内人に質問できるのは1回だけというルールがありますが、
案内人は質問を受けたら必ず答えるつもりでいることにしておきます。
質問を2回以上した場合にはルール違反ということで、すぐさま地獄に落とされると考えればよいでしょう。
「天国への道はどちらですか?」などの「はい」または「いいえ」で答えられない形式の質問をした場合は、
答えようがありませんので、案内人は答えを返さず沈黙したままとなるでしょう。


この問題をなるべく理詰めで考えてみたいと思います。
2つの道を左の道、右の道と呼ぶことにします。
次の2つの可能性が考えられます。
A.左の道が天国への道
B.右の道が地獄への道
1回の質問では答えが「はい」「いいえ」の2通りしかありませんので、
AかBかが特定できる質問であれば、他の情報は得られません。
例えば、案内人が天使なのか悪魔なのかは分かりません。
この情報を含めると次のように4通りになってしまいます。
A1.左の道が天国への道で、案内人は天使
A2.左の道が天国への道で、案内人は悪魔
B1.右の道が天国への道で、案内人は天使
B2.右の道が天国への道で、案内人は悪魔
案内人が天使なのか悪魔なのか分からないまま判断するためには、
天使も悪魔も同じ答えを返す質問をするしかありません。
例えば「あなたは天使ですか」と質問すると、
天使は正しく「はい」と答え、悪魔は嘘をついて「はい」と答えます。
左の道が天国への道であるときには「はい」、そうでないときには「いいえ」となるような質問を考えればよいです。
A1,A2の場合は「はい」、B1,B2の場合には「いいえ」です。
例えば、A1ですか?と質問した場合、
A1であれば、A1は正しく案内人は天使なので答えは「はい」
A2であれば、A1は正しくなく案内人は悪魔なので答えは「はい」
B1であれば、A1は正しくなく案内人は天使なので答えは「いいえ」
B2であれば、A1は正しくなく案内人は悪魔なので答えは「はい」
B2の場合の答えが「いいえ」でないので、この質問ではうまくいきません。

Pを何らかの命題として、Pですか?と質問した場合に、次のようになればよいです。
A1であれば、Pは正しく案内人は天使なので答えは「はい」
A2であれば、Pは正しくなく案内人は悪魔なので答えは「はい」
B1であれば、Pは正しくなく案内人は天使なので答えは「いいえ」
B2であれば、Pは正しく案内人は悪魔なので答えは「いいえ」
つまり、A1,B2の場合には正しく、A2,B1の場合に正しくない命題Pを考えればよいのです。
P=A1 OR B2 とすればよいですね。
よって、
「左の道が天国への道で、案内人は天使」または「右の道が天国への道で、案内人は悪魔」ですか?
という意味の質問をすればよいのです。
これだと分かりにくいので、次のようにしてもいいと思います。
「次の2つの命題の中に正しいものはありますか?
 1.左の道が天国への道で、案内人は天使である
 2.左の道が天国への道で、案内人は悪魔である」

これは次の質問と実質同じです。
「『左の道は天国への道ですか?』と質問されたら『はい』と答えますか?」
通常はこの質問がこの問題の答えとされていますが、これには問題があると考える人もいます。
質問は1回しかできないことになっています。
案内人がこの質問を受けた場合、他の質問には答えないと考えられます。
「この道は天国への道ですか?」と質問されたら「はい」とも「いいえ」とも答えないということです。
よって、最初の質問に対して、天使は「いいえ」、悪魔は「はい」と答えます。
天使と悪魔の答えが食い違いますので、この質問ではうまくいきません。
こういう問題がありますので、案内人は質問を受けたら必ず答えるつもりでいると書いておきました。
別の問題もあります。
「左の道は天国への道ですか?」だけで一つの質問として成立しますので、
そこまで述べた時点で即座に答えを言われてしまう可能性があります。
これを避けるためには、
「もしも『左の道は天国への道ですか?』と質問されたら『はい』と答えますか?」
など、誤解されない形式にしましょう。

次回はこの問題を発展させたものを考えてみたいと思います。

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