2017年10月28日土曜日

極限脱出パロディ小説 最終話

極限脱出パロディ小説 第一話
極限脱出パロディ小説 第二話
極限脱出パロディ小説 第三話
極限脱出パロディ小説 第四話
極限脱出パロディ小説 第五話
極限脱出パロディ小説 第六話
極限脱出パロディ小説 第七話
極限脱出パロディ小説 第八話
極限脱出パロディ小説 第九話

俺はすぐさま復活した。
もう慣れたものである。


さて、一体何が間違っていたのだろうか。
今回は途中で推論を止めたわけでもないし、答えが複数あるわけでもない。
入力欄は12個で人形の数も12体で一致している。
条件をすべて満たしていることも確認した。

待てよ?
Bの文章については、計算するまでもないと思って確認していなかったな。
まさかこれが間違っているなんてことはないよな?
念のために計算しておくか。

天使の男は41歳で、A,Bの2人。
悪魔の男は31歳で、H,I,J,K,Lの5人。
男の平均年齢は(41*2+31*5)/7=33.857・・・
天使の女は38歳で、C,D,Fの3人。
悪魔の女は30歳で、E,Gの2人。
女の平均年齢は(38*3+30*2)/5=・・・34.8
男の平均年齢の方が低いな・・・って、嘘だろ!
天使も悪魔も女の方が年齢が低いのに、なんで平均すると男の方が低くなるんだよ!?

予想外の結果にびっくりしたが、計算に間違いはない。
事実は事実として認めなくてはいけないだろう。
俺の推論は最初っから間違っていたんじゃねえか!

Bが天使だと考えておかしくなったのだから、Bは悪魔だ。
Aが天使だとすると、Aと同じグループの者がいなくなるからAも悪魔だな。
A,B以外に書かれている年齢は38歳と40歳だけなので、
天使の男は40歳で、天使の女は38歳。

Iが天使だと仮定すると39歳の悪魔がいることになる。
こいつが天使の男と女の間の年齢だということは、
男と女どちらであっても39歳を境にして男女の年齢が分かれることになる。
女の平均年齢が低いことになって矛盾するからIは悪魔だ。

Kが悪魔だと仮定するとJも悪魔となる。
すると、40歳の天使がLだけとなり矛盾する。
Kは天使だ。

Kが天使なのでJも天使。
B,C,Dは同じ年齢であり、全員悪魔。
Dの文章から、天使の女は4人以上。
天使の女は38歳だと分かっている。
38歳と書かれた者のうちDは悪魔と判明しており残りはE,F,G,Hの4人。
E,F,G,Hは全員女の天使だ。
E,F,G,H,J,Kの6人は天使、A,B,C,D,Iの5人は悪魔と分かった。
天使か悪魔か分かっていないのはLだけだ。
Fの文章によると悪魔は6人ではないのでLは天使だ。
5人の悪魔のうちB,C,Dの3人は同じ年齢だと分かっている。
残るA,Iは同じ年齢で、B,C,Dとは異なるグループである。
Eの文章から女は6人と分かるので、A,Iが女でB,C,Dが男である。

Lの文章からIは30歳以下だと分かる。
悪魔の女は30歳以下である。
天使の男は40歳、天使の女は38歳だったので、悪魔の男は40歳以上ではない。
Gの文章から29歳か47歳の者がいることが分かる。
47歳の者がいると矛盾するので29歳の悪魔がいることになる。

29歳の悪魔が女と仮定しよう。
悪魔の男の年齢をαとすると、
女の平均年齢=(29*2+38*4)/6
男の平均年齢=(α*3+40*3)/6
女の平均年齢≧男の平均年齢なので、α≦30が得られる。
29<α≦30を満たす整数は30だけ。
整数しか入力できないようになっていたから年齢は整数と考えていいだろう。
悪魔の男は30歳だ。
しかし、これはHの文章に矛盾する。
29歳の悪魔は男である。

悪魔の女の年齢をαとすると、
(α*2+38*4)/6≧(29*3+40*3)/6
27.5≦α<29
が得られるので、悪魔の女は28歳と決まる。

以上より、A,Iは28歳、B,C,Dは29歳、E,F,G,Hは38歳、J,K,Lは40歳である。
俺はすべての条件を満たしていることを確認した。


認証コードを入力する。
ピピッ
「認証コードを確認」
「エレベーターが使用可能になりました」

「淳平君、すごい!」
「さあ行こう、茜」
「うん」

俺は茜の手をとってエレベーターに乗り込んだ。


・・・やっぱり駄目だったか。
こんな女は置き去りにしたかったんだが。
ここに来てからずっと俺の体は俺の意思通りに動かない。
口から出るセリフも思ってもいないことばかりだ。
まるで何者かに操られているようなのだ。

第三者からすれば俺と茜は仲がいいように見えるかもしれないが、
俺はこんな女にはこれっぽっちも魅力を感じていない。
元クラスメイトだったのは間違いないが、ほとんど喋ったこともなく、全く関心がなかったのだ。
今では嫌悪感すら抱いている。
みんなを殺したのは茜だからな。
サンタと四葉が争ったなんて大嘘だ。
どちらも茜が殺したに決まっている。
俺もさっき殺された。
こいつがすべてを操っているのだ。
茜がゼロだ。

エレベーターが停止し、扉が開く。
久しぶりに目にする太陽が眩しい。

エレベーターから降りると、手首からバングルがひとりでに外れて地面に落ちる。
「・・私たち帰れるんだね」
「ああ、帰ろう」
「淳平君のおかげだね。ありがとう。淳平君がいなかったら私・・・」
「茜がいたから頑張れたのさ」

なんなんだこれは!
もうやめてくれ!

「淳平君。これからも私のこと守ってくれる?」
「ああ。一生守ってやるよ」
「淳平君」
抱き合う二人。

誰か助けてくれーーー!
俺は心の中で絶叫していた。

-FIN-

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