2017年12月6日水曜日

二次方程式?

複素数を知っている人向けの内容です。
数学の基本が身についているかどうか、チェックしてみましょう。
次の方程式を解いてください。

ax^2+bx+c=0


公式を忘れてしまったので分かりません、という人はもちろん失格です。
公式を覚えていないのがいけないということではありません。
公式なんて覚えていなくたって、解ければいいのです。
解き方が分からないのが問題なのです。

二次方程式の解の公式を思い出して、x=(-b±√(b^2-4ac))/2a
等と答えた人も失格です。
なぜなら、どれが未知数なのか明示されていないからです。
仮にcについての方程式で、a,b,xは定数ということであれば、
答えは c=-ax^2-bx です。
どれが未知数でどれが定数なのか確認しなければいけません。
確認できない場合は、慣例に従ってこういう前提で解きましたというような断りを入れておいた方がいいでしょう。

では、
a,b,cを実数の定数とするとき、xについての方程式 ax^2+bx+c=0を複素数の範囲で解いてください。


二次方程式の解の公式をそのまま答えた人は失格です。
a=0の場合は二次方程式になりませんので、あの式では駄目なのです。
正しく答えるためには、場合分けをしないといけません。
a=0の場合、bx+c=0です。
bx=-cですので、両辺をbで割って、x=-c/b
としてはいけません。
b=0の場合は0で割ることになります。
0で割ってはいけないというのは数学における絶対のルールなのです。

なぜ0で割ってはいけないのかというと、
0で割ると世界が滅びてしまうからです。
これは冗談ではありません。
0で割った時に世界が滅びない確率をpとしましょう。
pを0で割った値をzとします。
p/0=z の両辺に0を掛けると、p=z*0=0
世界が滅びない確率が0となりますので、世界が滅びる確率は1。
0で割ると確実に世界が滅びてしまうのです(笑)。
世界の滅亡を防ぐため、0で割ってはいけないのです。



a=b=0の場合はc=0という式になります。
c=0であれば、xの値にかかわらず成立します。
c≠0であれば、xの値にかかわらず不成立です。

a≠0の場合は二次方程式ですので、二次方程式の解の公式が使えます。
もちろん公式を使わなくても解けます。
a≠0ですので、式の全体をaで割ることができ、
x^2+(b/a)x+c/a=0

x^2=ある定数
という形であれば、xの値は計算できます。
(x+ある定数)^2=ある定数
という形であれば、x+ある定数の値が計算でき、xの値も計算できます。
(x+k)^2=x^2+2kx+k^2
です(これも公式を覚える必要は全くなく、普通に計算すれば済みます)。
先程の式と比較すると、
2k=b/a なので、k=b/2a
(x+b/2a)^2=x^2+(b/a)x+(b/2a)^2
x^2+(b/a)x=(x+b/2a)^2-(b/2a)^2
よって、
(x+b/2a)^2-(b/2a)^2+c/a=0
(x+b/2a)^2=(b/2a)^2-c/a
従って、
x+b/2a=±√((b/2a)^2-c/a)
x+b/2a=±√((b^2-4ac)/(2a)^2)
√の中の1/(2a)^2について、根号を外したいです。
今回は結果的には問題ないのですが、通常根号を外すときには注意が必要です。
aが実数のとき、√(a^2)=a とは限りません。
二乗してa^2になる数は-aとaの2つあります。
aが負の数の場合は √(a^2)=-aです。
√(a^2)=|a| (aの絶対値)
とするのが正しいです。
今回は±がついていますので、||をつけなくても問題ありません。
x+b/2a=±(√(b^2-4ac))/2a
x=(-b±√(b^2-4ac))/2a
となります。

以上を整理しますと、
a=b=c=0の場合、xはすべての複素数
a=b=0,c≠0の場合、解なし
a=0,b≠0の場合、x=-c/b
a≠0の場合、x=(-b±√(b^2-4ac))/2a



では、次の問題です。

aを定数とします。
xについての方程式
(a^2+1)x^2-2ax+1=0
を複素数の範囲で解きます。
この方程式が少なくとも一つの実数解を持つようなaの値をすべて求めてください。


式を変形してみると、
(a^2+1)x^2-2ax+1=(ax-1)^2+x^2
(ax-1)^2もx^2も0以上で、x=0のときには成立しませんから、
この方程式が実数解を持つことはない。
判別式を計算してみても、
D/4=-1
D<0なので、この方程式は異なる二つの(実数でない)複素数。
条件を満たすようなaはない。
と考えたくなります。
しかし、これは間違いです。

まず、x^2の係数が0となる可能性を考えていませんので、一応調べておきましょう。
a^2+1=0となるのは、a=-i,i(iは虚数単位)
このときは実数解にはなりません。
aは実数とは書かれていませんので複素数の範囲で考える必要があります。
二次方程式の解の公式自体は複素数係数であっても使えますが、
判別式によって実数解の個数を判断することはできません。
実数係数の場合は虚数単位iが現れるのは√の中がマイナスになる場合だけですが、
複素数係数の場合は他の場所にもiが現れる可能性があるからです。
例えば、
x^2+2ix-2=0
という方程式を考えてみましょう。
判別式の値は4ですが、実数解は持ちません。
x^2+2ix-2=(x+i-1)(x+i+1)ですので、x=-i+1,-i-1という実数ではない解となります。

b,cを実数として、a=b+ciとします。
あの方程式に代入して計算すると、
実部は、(b^2-c^2+1)x^2-2bx+1
虚部は、2bcx^2-2cx=2cx(bx-1)
c=0のときはaが実数ということですので考察済です。
x=0は解になりませんので、bx-1=0。
bx=1です。

実部を計算すると、
(b^2-c^2+1)x^2-2bx+1=(bx)^2+(-c^2+1)x^2-2*bx+1=(-c^2+1)x^2
x≠0ですので、c^2=1
c=-1,1です。
a=b-i,b+i
それぞれを方程式に代入して因数分解すると、次のようになります。
(bx-1)(bx-2ix-1)=0
(bx-1)(bx+2ix-1)=0
b≠0とすると、どちらもx=1/bという実数解を持ち、実数でない解を一つ持ちます。

以上より答えは、
bを0でない任意の実数とし、
a=b-i,b+i
となります。

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