新型コロナウイルス関連の記事で、
「50代以下の死者3.5倍、大阪 第4波、変異株の影響で」
という見出しのものがありました(2021年5月20日)。
記事によると、
『3月からの第4波で死亡した人のうち、50代以下は6.7%』
『1.9%だった昨年10月からの第3波と比べると急増した』
『死者のうち50代以下が占める割合が第3波の約3.5倍』
『「変異株は感染力が強いだけでなく若い世代が重症化しやすい」と述べ、府民に警戒を続けるよう呼びかけた』
とあります。
まず、見出しが不正確ですね。
この見出しでは死者の数が3.5倍になったと読めますが、
実際は死者の数ではなく、割合ですね。
仮に第三波の死者数が4000人で、第四波の死者数が1000人だった場合、
50代以下の死者数は第三波では76人、第四波では67人ですから、
死者数は減っているということなります。
そして、割合の増加率を計算したところでほとんど意味はありません。
仮に第三波と第四波の死者数がともに100人だったとして、
50代以下の死者数が1人から2人になった場合、割合は2倍になります。
50代以下の死者数が50人から51人になった場合、割合は1.02倍になります。
どちらも死者数が1人増えただけなのに、割合の増加率は大違いです。
また、50代以下の割合に注目していますが、逆に50代より上の方に注目してみると、
第三波での死亡者の割合は98.1%
第四波での死亡者の割合は93.3%
死亡者のうち50代を超える者の割合は0.95倍になったと言えます。
死亡者のうち50代以下の者の割合は3.5倍になった、と較べると受ける印象が全く異なります。
同じ現象について注目するグループを変えただけなのに印象が変わってしまうのは、
言っていることが的外れだということです。
更に、50代以下の死亡者の割合が増えたからといって、
「若い世代が重症化しやすい」と言っているのもおかしいです。
結論は正しいかもしれませんが、論理的ではないです。
50代以下を若い世代と言っているところはおいておきます。
「重症化しやすい」というのは、感染した場合は重症になる可能性が高いという意味でしょう。
であれば、重症化しやすいかどうかは感染した人に対する重傷者の割合を見る必要があります。
重症化した人が100人いたとしても感染者が10万人など大量にいた場合は、
重症化しやすいとは言えないでしょう。
逆に重症化した人が5人しかいなくても感染者も5人だけであれば、
重症化する可能性は高いと言えるでしょう。
数字を使うと正しく見えるかもしれませんが、
間違った使い方をすれば間違った結論が出ることもあるのです。
ついでにワクチン予約システムの不備についてもちょっと書いてみます。
システムの不具合の内容とかを不特定多数の人に知らしめるのはよろしくないと思いますが、
既に大々的に報道されていますので私が書いても問題ないでしょう。
防衛省が開設した予約サイトにおいて、
自治体番号、接種券番号など存在しない番号でも予約できてしまうという不備。
これは不具合というより仕様漏れですね。
適当な番号を入力しても大半が通ってしまったとあるサイトに書いてありましたので
ろくなチェックをしていないのでしょう。
地方自治体が対象者に接種券を送付して、それを見て予約サイトで予約するわけですが、
地方自治体が運営するサイトと、それとは別に防衛省が開設した大規模接種センター用のサイトと
2種類あって、連携が全くとれていないのも問題です。
これらを一つのシステムとして統合するのは難しいと思いますので、
二重予約しないように気をつけてくださいというくらいはまだ理解できます。
が、ほとんど何のチェックもせず、適当な番号を入れて予約できてしまうというのは
ひどすぎると思いますね。
入力ミスをしても気付かないのではないでしょうか。
速さを重視したといっても拙速にも程があります。
それに仕組みを考える時間なんていくらでもあったと思うんですが。
ワクチンを用意できるようになってから慌てて考えたんでしょうか。
「全国民の個人情報を防衛省が把握するのは適切でない」という理由で
連携できないというようなことも言っていましたが、
個人情報を使わずに連携する方法なんてすぐ思いつくのですが。
接種券番号をつける際にパスワードを決めて
その番号とパスワードだけを共有すればいいのです。
接種券にはそのパスワードも印刷してサイトに入力してもらえばよいです。
パスワードは英数字で3桁くらいでいいんじゃないですかね。
アルファベット+数字で36種類ですので3桁で46656通り。
適当に入力しただけでは当たりません。
接種券番号などにもチェックディジットをつけるといいですね。
完全なシステムの連携は難しくても
番号とパスワードだけデータでもらえば、
有効な入力かどうかのチェックはできるようになります。
システム開発するような人がこの程度のことを思いつかないはずがないですので、
よっぽど考えなしに始めて、手のほどこしようがなくなってしまったのでしょう。
コロナ関連では残念なニュースが多いので、最後にちょっとよかったことを。
コロナ対策のおかげだと思いますが、風邪をひかなくなりました。
風邪やインフルエンザの予防にもなるのでこの対策は続けてもいい気がします。
もう一つ、嫌な宴会がなくなったのもいいですね。
ポジティプ思考で乗り越えたいと思います。
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