2017年7月16日日曜日

二つの封筒問題

先日、よく議論されている確率の問題について書きました。
眠り姫問題について
これはかなり難易度が高かったですね。
今回は比較的難易度低めの確率の問題について書いてみます。
二つの封筒の問題です。

あなたは二つの封筒A,Bのどちらか一つをもらえることになりました。
どちらの封筒にもお金が入っています。
片方には他方の2倍の金額が入っているそうです。

仮に封筒Aを開けたらX円が入っていたとします。
封筒Bには2X円かX/2円が入っているはずです。
封筒Bをもらった時に手に入る金額の期待値は(2X+X/2)/2=5X/4
期待値がXより大きいので、封筒Bを選んだ方が得だったということになります。

ところが、封筒Bを開けたらX円が入っていたとして同様に考えると、
封筒Aを選んだ方が得だったということになります。

どちらの封筒を選んでも違う封筒を選んだ方が得だったというおかしなことになります。
どうしてなのでしょう。


最初に身も蓋もないことを書いてしまいますが、情報が不足しているため期待値の計算はできません。
期待値が計算できると思っている人は何らかの仮定をしているのです。

例えば、必ずAに千円、Bに二千円を入れると決まっていた場合、
間違いなくBを選んだ方が得です。Aに変えたら期待値が増えるなんてことはありません。

Aには二千円を入れ、Bには等しい確率で四千円または二千円を入れるという場合、
Aの期待値は二千円、Bの期待値は三千円ですのでBを選んだ方が得です。

まずA,Bに千円ずつ入れて、等しい確率でA,Bどちらかに千円を追加する場合、
A,Bの期待値は等しくなりますので、どちらを選んでも同じです。

このように、入れる金額をどのように決めるかで結果は変わってきます。
何も書いていないということはA,Bに対して公平なルールになっているはずだと考えるのであれば、
何も計算することはありません。
A,Bの期待値は同じになります。A,Bに対して公平なのですから!

この問題では、
BがAの倍になっている確率とAの半分になっている確率は等しく、
AがBの倍になっている確率とBの半分になっている確率は等しい
という仮定をしています。
その結果、矛盾が生じるということは、仮定が誤りというだけのことなのです。
つまり、このような条件を満たす金額の設定は不可能ということです。

確率の問題では何を前提とするかで結果が変わることがよくあります。
何が前提になっているのか、自分は何を仮定して計算しているのかしっかり自覚するようにしましょう。

次回は7/19、遅まきながら自己紹介の予定です。

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