2017年10月25日水曜日

極限脱出パロディ小説 第七話

極限脱出パロディ小説 第一話
極限脱出パロディ小説 第二話
極限脱出パロディ小説 第三話
極限脱出パロディ小説 第四話
極限脱出パロディ小説 第五話
極限脱出パロディ小説 第六話

俺は考えに考えた。
もしかするとゼロは俺たちの中に潜んでいるのではないだろうか。
ゼロの映像は録画であり、自動再生される仕組みだったから、
俺たちと一緒に行動をしていても問題はない。
奴はプレイヤーが8人だとは一度も言わなかった。
プレイヤーでない者が紛れ込んでいるとしたら、プレイヤーの数は8人ではない可能性がある。
プレイヤー全員が部屋に入ったらビデオが再生されると言っていたから、
プレイヤーが8人以下であることは間違いない。
ゼロかこの中にいるとしたら、プレイヤーの数は7人。
実際にはもっと少ないかもしれない。

先ほどの推論を振り返ってみると、
キーナンバーが8個なので扉7は偽になるというところが間違っていたわけだ。
扉7が偽だとするとキーナンバーの数に関わりなく矛盾が生じてしまう。
だから扉7は真だ!
他には扉1が偽、扉2は真で(2,4,5)、扉3は偽と分かっている。

キーナンバーがn個のとき、2個のキーナンバーの組み合わせはn(n-1)/2個。
開く扉は真の扉であり、鍵番号を3つもつ。
一つの真の扉の鍵番号から得られる2個のキーナンバーの組み合わせは3個なので、
真の扉の個数をmとすると3m=n(n-1)/2とならなくてはいけない。
よって、6m=n(n-1)であり、n(n-1)は6の倍数。
また、2個のキーナンバーの組み合わせの中で、あるキーナンバーを含むものはn-1個。
そのような組み合わせは扉一つにつき0個または2個なので、n-1は偶数でなくてはいけない。
この条件を満たすのは8以下の自然数の中では1,3,7のみ。
扉2よりキーナンバー5が存在することは明らかなのでn=7となる。

やはりプレイヤーは7人であり、一人がゼロなのだろう。
プレイヤーには1から順に連続するキーナンバーが振られているのだから、
キーナンバーは1から7。キーナンバー8はない。
ということは、八代がゼロということになるわけだ。
ちょっと信じ難いが。
これで矛盾が起きないかどうか確認してみよう。

真の扉の個数は7×(7-1)/6=7個。
鍵番号2を含む鍵番号2個の組み合わせの個数は6個であり、
2を含む真の扉にはそのうち2個が含まれるので、そのような扉は3個。
同様に6を含む真の扉も3個。
よって2または6を含む真の扉は高々6個。
真の扉は7個なので、2も6も含まない真の扉が存在し、扉19は偽と分かる。
扉19が偽なので扉5は偽。
扉4が偽だと扉3,扉4,扉5がすべて偽となり矛盾するので扉4は真。
扉4が真なので扉14,扉18は真。
キーナンバー8が存在しないので扉10は偽。
扉10が偽なので扉6は偽。
扉18が真なので3の倍数の扉は3をもつ。
扉14が真なので扉11と扉16の鍵番号の積は24。
扉11,扉14は(4,6)(2,3,4)(1,4,6)のどれか。
(2,3,4)は扉2と矛盾するので(4,6)まはた(1,4,6)。
つまり、扉11,扉16は一方が偽の扉(4,6)で他方が真の扉(1,4,6)。
扉11,扉16は4,6を共通にもつので扉9は偽。
扉11,扉16のどちらかが真なので扉20は(5,6)か(4,5)であり偽。
扉20が偽なので5の倍数の扉は5をもつ。
扉8が真だとすると扉8=(1,4,6)となり矛盾するので扉8は偽。

扉12が真だと仮定してみよう。
扉2,扉4,扉7,扉14,扉12,扉18の6個は真の扉であり、
扉11,扉16のどちらかは真の扉と分かった。
真の扉は7個なので他の扉はすべて偽の扉ということになる。
扉13が偽なので扉15は6をもつ。
すると扉15=(3,5,6)となり真となるので矛盾してしまう。
よって扉12は偽だ。

扉12が偽なので扉4は4をもつ。
(2,4,5)(1,4,6)が存在するので扉4=(3,4,7)と決まる。
扉2=(2,4,5)、扉11または扉16が(1,4,6)なので、これで全員移動できそうだ。
扉11,扉16のどちらが(1,4,6)であっても、
すべての条件を満たすような組み合わせを考えることができる。
だから扉11,扉16のどちらが真の扉なのかを確定させることはできない。
しかし安全に確認する方法はある。
4番6番で扉に近づいて開いた方が真の扉だ。
1番4番6番は扉11,扉16のどちらか開いた方を通ればいい。
2番5番は扉2を通り、3番7番は扉4を通ればよい。
8番はプレイヤーではないので関係ない。
これでプレイヤー全員が安全に扉を通ることができる。

どうやらこれが確実な手順のようだ。
俺は八代を問い詰めることにした。

「お前がゼロなんだな!」
「えっ?なんのことかしら?」
「しらばっくれるんじゃねえ!」
俺が八代につかみかかると、八代のバングルからピッと音がした。

「うぐっ」
八代が崩れ落ちた。

・・・

「どうやら毒死のようだね」
「自殺?」
「多分違う。バングルから毒を注入されたんじゃないかな」
「そういえば音が鳴っていたな。誰かが信号を送ったんだろう」
「誰かって?」
「ゼロじゃないか?」
「八代がプレイヤーでなかったのは間違いない。恐らくゼロの協力者だったのだろう」
「でもこのゲームをクリアしようとしたら、それに気づくようになっていたんだよね?
おかしくない?」
「八代にはそのことは知らされていなかったんだろう。
八代がプレイヤーでないことに気付かれたら口を封じる計画だったと思われる」
「ひどい奴だね」
「まったくだ」
「ゼロはこの7人の中にいるってことだよね」
「その可能性は高いな」
「八代を殺すために信号を送ったんだよね。リモコンか何か持ってるんじゃないかな」
「なるほど」

男女別に身体検査をしてみたが、あやしい物を持っている者はいなかった。
バングルにはたくさんボタンがついているので、それを操作したのかもしれない。
結局何も分からないまま次の部屋に移動した。

続く。

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