2021年10月16日土曜日

読書量と年収は正比例する・・・わけがない!

 「読書量と年収は正比例する」という言葉をちょくちょく見かけます。

だから、年収を上げるために読書をしよう!

なんてことを考える人がいるんでしょうか。

正比例というのは、

y= kx (kは定数)

という関係です。

読書量が0なら年収も0。

読書量が2倍になれば年収も2倍、読書量が3倍になれば年収も3倍。

社会人でも全く本を読まない人はいますが、その人の収入が0のはずがありません。

専業主婦の収入は0ですが、本を読んでいる人はたくさんいるでしょう。

本当に読書量と年収が比例するなら、仕事もせずに本ばっかり読んでいれば

どんどん収入が増えるということになります。

そんな夢みたいな生活したいです!

私は年間300冊以上は読みますので、量だけならトップクラスです。

私の勤めている会社の中では断トツだと思います。

しかし、給料は断トツのわけがありません。

同じ会社で同じような仕事をしていれば給料も似たようなものです。

読書量が何十倍と違っていても給料が何十倍も違うなんてことはあり得ません。


私が「読書量と年収」で検索して表示されたサイトをいくつか見てみたところ、

あるサイトには、

年収800万円以上の人は、月額書籍購入費平均が2,910円

年収400万円~800万円の人は2,557円

400万円未満の人は1,914円という結果が出ています。

と書かれていました。

年収800万円以上の人は、年間書籍購入費が34920円。

収入に対して書籍代の占める割合は、0.4365%以下ということですね。

年収400万円~800万円の人は年収600万として計算すると、0.5114%

400万未満の人は年収200万として計算すると、1.1484%

このエンゲル係数の書籍版みたいな数値は収入が低いほど高くなっているようです。

これって、収入が低い人ほど書籍代に多く使っていると言えるのではないでしょうか?


また別のサイトでは、

富裕層の88%が1日30分以上ビジネス書などを読んでいましたが、

年収300万円以下の人は、わずか2%でした。

富裕層の86%が読書家で、

富裕層の63%は、移動時間にオーディオブックやYouTubeを視聴しています。

とありました。

つまり、富裕層でも12%の人は1日30以上ビジネス書など読むことはしない。

年収300万円以下でも2%の人は読んでいる。

富裕層でも14%の人は読書家ではないということですね。

相関関係があるにしろ、あくまでも平均値の話であって、

あてはまらない人もたくさんいるということです。


また、相関関係と因果関係は異なるものです。

因果関係があるにしても、

読書量が多いので、収入も多くなった

収入が多いので、読書量も多くなった

という二つが考えられます。

後者であれば、収入を上げるために読書量を増やすのは全くの無意味です。

実際の因果関係はこんな単純なものではないでしょう。

仮に読書が一つの要因だとしても、他にも様々な要因があるでしょう。

読書以外にも色々と努力をしているのは当たり前だと思います。

それなのに読書量だけ真似したところで何になるのでしょう。


読書量が増えるとなぜ収入が上がるのか、その理由については、

・知識が増えて仕事の効率がよくなる

・自ら考えて柔軟に行動する力がつく

・成功者の考えが分かる

などと書かれているものがありましたが、あまり説得力を感じません。

まず、読む本の種類によると思います。

なんでもいいから本を読めばいいというものではないでしょう。

読書で得られる効果は読書以外でも得ることは可能でしょうし、

ものによっては読書以外の手段の方が効率がいいです。

読書に対する期待値が高すぎると思うんですよね。

知識についてもネットで検索とか人に話を聞くとか実際に体験してみるとか、

他の方法はありますし、本だけでは得られないものも多いです。

料理の味なんていくら言葉を尽くしたところで、

実際にそれを食べるという経験にはかなわないでしょう。

読書は著者との対話と言われることがありますが、

疑問点があっても質問に答えてくれるわけでもありません。

実際に著者と会話する方が実りが多いのは間違いないでしょう。

本を読むより人脈作りを頑張った方がいいのでは?


読書にいい効果があることは否定しませんが、

特定の効果を求めるなら読書以外のもっと効率のいい方法がある気がします。

あやふやな効果を求めて無理に読書をすることはないと思います。

読書は娯楽として気軽に楽しんでほしいです。

そういえば、ショーペンハウエルという人が

娯楽のための読書は雑草を育てているようなもの

と言っています。

無駄なことをしていると言いたいのでしょうが、娯楽の何が無駄なのか。

娯楽のない人生なんて意味があるんでしょうか。

ちなみにこの人は、

読書とは、自分で考える代わりに他のだれかにものを考えてもらうことである

とも言っています。

読書を否定しているわけではなく、自分の頭が考えることも大事だということです。

読書をしているだけでは駄目なのです。

また、良書だけを読めということも言っています。

これは一見正しいように見えますが、大間違いです。

ある本が世に出た時点ではそれが良書かどうかは分かりません。

多くの人が読んで認められて初めて良書という評価が定まるのです。

良書は基本的に古典なのです。

みんなが良書しか読まなくなったら、新しく出版される本は誰にも読まれないことになります。

そうなると新しく本が出版されることはなくなるでしょう。

つまり、本が絶滅するのです。

良書だけ読むというのは目先のことしか考えていないんですね。

人類の未来を考えなくては。

新しく出版された本は多くの人に読まれることによって評価が定まります。

誰も読まなかったら良書かどうか分かりません。

新しい良書を生み出すためにも新しい本は読まれなくてはいけないのです。

なので乱読は全然悪いことではありません。

人類の未来を見据えた崇高な行為なのです。

人類の豊かな未来のために、どんどん本を読みましょう!

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